本妻や通い妻のほか、多数の腰元の存在のお陰で苦労のない生活を送っているが、ことほのかクリスマスの時期になると連中の姿が見えなくなる。本来は家族と共にキリストの誕生を祝う時期であるが、実家の家族は病のため、結局はいつもの単独一献を強いられることになる。要するに、いつもの単独一献がたまたまクリスマスの時期に重なっただけのこと。
で、今年のディナーとして選んだ先は、横浜の戸塚にある江戸前寿司の店「大進」。まずは、刺し盛りからということで、ご主人にお勧めのネタを切っていただく。富山県の氷見産の天然ブリや相模湾の佐島産のアジのほか、マグロの中トロ、シメサバ、イカ、タコなど、私が好きなものが盛られてくる。これでは、ビールやら焼酎のお茶割りというわけにはいかないので、日本酒に切り替えることに。ここにたまにコメントを寄せてくださる「我楽多工場分室」の管理人キョウエ殿が以前お勧めされていらした「立山」をいただく。
刺し盛りがなくなりかけてきた頃を見計らってか、タイミングよく一品料理が運ばれてくるではないか。サトイモ(正式名称は失念)をこしたものを丸めて油で揚げ、それを出汁のきいたあんに絡めたもの。上に風味付けの三つ葉がさりげなくのっているが、色だけで風味に欠ける三つ葉が市場に出回っていることが多い中で、ここのはしっかりとした味と風味がしている。
続いて、焼き物ということで、マナガツオの西京焼きが登場。西日本などでは新鮮なマナガツオの刺身は珍重されるが、西京焼きもまた格別。先ほどの立山が杯を重ねて3杯目に入ろうとしている。ところで、このマナガツオだが、普通のカツオでないのに、なぜマナガツオというのであろうか。カツオと同じスズキ目ではあるが、マナガツオは分類上、イボダイ亜目マナガツオ科に属しており、サバ亜目サバ科のカツオとはちょっと縁遠い。歴史的な背景がいろいろとあるのかもしれない。難しいことは、魚博士にお伺いすることとしたい。
焼き物がもう一品欲しくなってきたので、店内に掲げてあるお勧めメニューから、白子焼きをお願いすることに。程よい塩気とレモン果汁の酸味との見事がバランスが、淡白な白子の味わいをより一層お奥深いものにしてくれる。
締めには少しぐらいご飯ものが欲しい。が、今さら握りやちらしでは量が多すぎて、小食の私の胃袋が持ち堪えることができない。そこで、いつもお願いするのが、巻物。程よい味噌の味が溶け込んだ汁物と一緒に今年の単独クリスマスディナーを締めくくる。



