2007年04月05日

無意味な過去形はバイト語の延長か…

オフィスの電話が鳴ったので出ると、「あのぉ〜、私ぃ〜、○○の代理店をしております△△商会の者ですけどぉ〜、こちらのお電話は□□さんでよろしかったでしょうか?」、と相手の男性。

文尾の「…□□さんでよろしかったでしょうか?」の過去形が妙にしっくりとこなかったが、今時はこういう表現もナウいのだろうということで、「はい、よろしかったです」と無理して過去形で返答。そう、過去形には過去形で応対するという時制の一致が必要であろうとの判断だ。

電話の内容は、要するに携帯を買い換えてくれ、という内容の単なるセールス。そのセールスのためにこちらに来て話をしたいという、いわばアポイントのためのもの。

男性:「携帯電話の件はお客様がご担当でよろしかったでしょうか?」
私:「わが社に携帯電話の買い替え担当など存在しませぬが。。。」
男性:「では、ちょっとお話させていただいてよろしかったでしょうか?」
私:「〜だったでしょうか?ならば、既に話を通してあるのですね?」
男性:「いやぁ〜、そうではないのですが。。。」
私:「でしょうなぁ。」
男性:「○○時ごろお邪魔させていただいて、よろしかったでしょうか?」
私:「過去形の疑問形ということは、予め話を通してあるのですか?」
男性:「あっはっは、いやぁ〜、そういうわけじゃないんですけどぉ〜。」
私:「過去形だとあたかも事前に話をしてあるように感じるのだが…」
男性:「あっはっはぁ〜、そっすよねぇ〜、はい、すいませんですぅ。」
私:「・・・」
男性:「で、携帯は買い替えということで、よろしかったでしょうか?」
私:「皆個人で持っているので、会社として買い替えは不要です。」
男性:「そうでしたかぁ、はい了解しました。それでは失礼します。」
私:「はい、どうも」

ブチッ、ツーツー。。。

「セールス」「営業」「よろしかったでしょうか」「過去形」をキーワードに検索すると、この種の言葉遣いに対する不平不満が結構あることに気付く。どうして過去形になってしまうのはサッパリ見当がつかないが、そういえば以前、ファーストフード店でよく耳にしたような覚えがある。

「××バーガー3つでよろしかったでしょうか?」
「千円からのお預かりでよろしかったでしょうか?」

バーガーがいくつの注文だったか、数秒前という「過去」の注文を確認するという意味合いがあるのであれば、(百歩譲ってではあるが)この場合の過去形も頷けないでもない。だが、千円札を受け取った途端に、過去形というのは解せない。「千円からの」の「から」も気になるが、今日は過去形だけに焦点を当てる。

1秒でも経ってしまえば「過去」のことなので、過去形を使って然るべきという考えも分からないではないが、店員に千円札を手渡したし、それを店員が確認するまでの1-2秒の空間を過ぎると、目の前の出来事がもう過去の領域に追いやられてしまうのは、一抹の寂しさを覚える。

カウンターでの応対などは、恐らくきちんとした店のマニュアルのようなものがあって、作法や言葉遣いなどを含めて数千にも及ぶ細かな指示が記されているのだと思う。だが、これを身に付けたまま実社会に出て、人と交流することになった場合、若い彼ら彼女らにとって影響はないものか心配になってしまう。

冒頭の電話の主も、恐らく会社のマニュアルか、或いはそのマニュアルで育成された先輩からの直伝に基づいて行動したに過ぎないのだろうが、どうも私としては釈然としない思いが込み上げてくる。

仕事上だけの言葉遣いとして割り切って使い分けができるというのであればまだよいのだろうが、若い彼ら彼女らは物事を吸収し、それをもの凄いスピードで身に付けてしまう。バイトで習った習慣でも、「大きな声で挨拶する」「手をきちんと洗う」といった、そのまま実社会で是非とも発揮してもらいたいものもあるが、そうでないものもあるのは事実。

社会で揉まれながら、一人ひとりが気付いていくしかないのであろう。彼らを受け入れる先輩社会人の責任は重い。
posted by 乙さん at 01:22| Comment(14) | TrackBack(0) | 日々雑感-宗教・言語・文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする