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オレゴン州のポートランドにあるカトリックの聖堂、通称「The Grotto」を訪ねる。
「Grotto」を辞書で引くと、洞穴とか岩屋といったような意味が登場する。その通りで、ここは大きな岩盤がくり貫かれて聖堂のようになっていることから、通称として「The Grotto」と呼ばれているだけで、正式名称は「The National Sanctuary of Our Sorrowful Mother」である。
ここの中心的なチャペルの一つでもある「Chapel of Mary」の前にある聖霊降誕、つまりイエスの誕生のシーンを人形で再現したレプリカがある。ライトアップされていて、しばらく眺めても飽きない。キリスト降誕のシーンやマリアの受胎の絵画と同様、とても厳かであり、また、人々に希望の光を与えてくれるものでもある。
たくさんの人が一目見ようと集まって来ている。片手に携帯を持ってカシャッと一枚撮っている。どこも同じだ。私はフラッシュが嫌いなので、手振れしないように身体を大仏よりもさらに硬直させる。全身が三脚になったつもりでシャッターボタンをムギュッと押す。暗いところでもISOは極力低く抑える私なので、手振れを覚悟でISO50、1/4秒、F2.8で撮る。
周りのアメリカ人が、この大仏男はフラッシュもたかないで撮る間抜けだ、といったような感じで私をチラリと見ているが、気にせずに撮ってみる。ちゃんと撮れているかどうか、モニターで確認していると、見知らぬ男が話しかけてくるではないか。
男:「貴殿が今撮った写真をモニターで拝見仕りたいのだが…」
私:「苦しゅうない。近こう寄って眺めるがよい」
男:「かように撮るためのコツを伝授願いたいのだが…」
私:「全身全霊で身体を大仏のように硬くするのが手振れ防止の秘訣」
男:「全身ということは下半身たる脚も含めてのことと察するが…」
私:「いかにも。三脚の要領といえば理解が早いかも知れぬ」
男:「な、なるほどぉ…」
私:「あっはっはっはぁ〜」
男:「かぁっかっかっかっかぁ〜」
私:「では、チャペル内に入るので、これにて御免仕る」
男:「うむ」
なんてアホは会話をしたかどうかは記憶の外のことではあるが、何はともあれ辛うじて見るに耐える一枚が撮れて満足。観衆の一人のシスターが胸で十字を切っていたのが印象的。